子育てに「もう遅い」はありません
~どの子も伸びる共有型しつけのススメ~

11月13日(日)、昨年に引き続き、内田伸子  の講演を中央公民館でお聞きしました。

photo1十文字学園女子大学特任教授 内田伸子 氏

この方は、日本の教育施策を立案するメンバーであり、国際的に子どもの発達を研究されている方です。

主催は草加市教育委員会の子ども教育連携推進室
0歳から15歳までの、草加の子どもの育ちを支える教育プログラムを推進しています。

初めて内田先生の講演を聞かれた方には、耳慣れない言葉もあり、少々難しく感じられたかもしれません。昨年の私もそうでした。けれど、生活習慣と脳科学が深く関係しているというお話など、とても興味を惹かれる内容も多かったです。
国際的で幅広い調査実績データや、きめ細かな実験や分析・検討によって導き出された、
「非常に厚みのある、中身が濃くて深い」ホンモノのお話でした。

今回は、昨年とは違う点をご紹介しつつ、やはり私的な感想を中心にご報告いたします。

日本語や韓国語を母語にする人は、英語・仏語・独語などを母語にする人と比べると、論理的思考が不得意である。

photo2
This-is-story

この絵のカエルのことを説明してください、と問うと、日本語系の人は時系列因果で説明することがほとんどです。

「男の子と犬がベッドで眠っていた。そしてカエルがこっそり逃げ出した」

しかし、英語系の人は、ちゃんとカエルを先に結論先行の因果律で説明します。

「カエルがこっそり逃げ出した。なぜなら男の子と犬がぐっすり眠っていたから」

私も覚えがありますが・・・いわゆる論文を書くにはこの時系列因果の説明は不向きなんです。結論や仮定を先に説明して、その理由・因果は何なのか?という思考の方が、論文=人を納得させる論理的な説明には向いているのです。

内田先生の実験では、「だってという言葉を使って説明して」と子どもにお願いすると、3回ほどの訓練で時系列な説明から結果先行の説明ができるようになった、とありました。
これをもとに、

5歳過ぎた子どもが「これはどうして?」と聞いてくることがあったら、大人はそれに解答せず「どうしてだろうね?」と逆に理由をたずねてあげて欲しい。
すると子どもは自分なりに「だって・・・だからじゃないの?」と考えるようになります。そこでほめてあげる!「自分で考えることができてすごいね!」と。
自分で理由や因果を考える、論理的な思考が育つことにつながります。

 

photo3託児を申し込んで拝聴する方も

 

それがどうしたの? と思う方もいるでしょうが・・・
2017年に告示され、2020年から完全実施される学習指導要領が、ここに関係してくるのです。

学びの質の改善を目指す、ということを中央教育審議会は考えています。「何を学ぶか」ではなく「どんなふうに学ぶか」という視点を重要視しているのです。
子どもが自分から主体的に・能動的に授業に参加するアクティブ・ラーニングが目玉となっています。

それには、幼児期のころの「遊び」=「子どもにとって自発的な活動」を、どれだけたくさん経験してきたか。その「楽しい!」って感情があってこそ、頭の中が活き活きと働いているという体験を積んでいるか。
そして大人は、子どもがそんな主体的な活動ができるように、寄り添って・禁止しないで・子ども自身が考えて判断する余地を残すことが大事なのです。

共有型しつけの「共有」とは、親子のふれあいを大切にし、子どもと楽しい時間を共有すること から来ています。親子でたくさん遊んでたくさん会話して、子どもの「楽しい!」をたくさん増やしてあげてください。

2020年には一人一台タブレットを用いて授業を受ける。そのための準備も、草加市でもすでにいくつかの小中学校では始まっていますが、子どもを育てるのは機械や教材ではありません。それらは手段でしかないのです。

家庭でも学校でも地域でも、たくさんの種類の大人が、多くの目をもって直接的に子どもたちと関わってゆく。それこそが子どもを育ててゆく、一番の教育なのだと実感しております。

文責 清水順子

 

 

内田伸子

[現職]

十文字学園理事・十文字学園女子大学特任教授、筑波大学客員教授、お茶の水女子大学名誉教授

[主な経歴]

お茶の水女子大学教育学部卒業、大学院修了、学術博士。

お茶の水女子大学文教育学部専任講師,助教授(1980),教授(1990)を経て、

1998年同大大学院人間文化研究科教授。2002年より子ども発達教育研究センター長、

2004年より文教育学部長、2005年よりお茶の水女子大学理事・副学長、

2012年より筑波大学常勤監事、2014年より現職。

[主な役職]

国立教育政策研究所「幼児の論理的思考の発達調査プロジェクト会議」(主査)

最高裁「裁判員制度の有識者会議」(委員)

文化庁国語審議会委員 ほか

[主な著書]

『0歳からのエデュケア-どの子も伸びる保育への誘い』(冨山房インターショナル,2015)

『子育てに「もう遅い」はありません』(冨山房インターショナル,2014)

『子どものつまずきには理由がある』(PHP,2013) ほか多数

 


 

子ども教育連携推進室

photo4草加オリジナルの、0歳から15歳の子どもの育ちを支えるプログラムを推進しており、全国の地方自治体からの視察も多数。
子どもたちが小学校・中学校へスムーズに移行できるよう、また自ら課題を乗り越える力が育つような施策を行っています。
保護者に対しても、家庭教育の重要性を学ぶ機会を講じています。